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手話の指文字-50音一覧を表現する方法-

2021年11月18日

様々な言語を表現できる手話ですが、特定の商品名や施設名などの「固有名詞」は伝えるのが困難です。地名も「東京」「大阪」など手話表現が広く知られているものもありますが、手話がわからない時は指文字の組み合わせで表現します。
そこで使われているのが、「あ」~「ん」までの50音や数字と単位、アルファベット26文字などを指の形で表す「指文字」です。人名も、手話と指文字とを併用した方がスムーズに伝えられることがあります。そこでこのコラムでは、指文字による日本語50音の表現を紹介します。


「指文字」を使った50音の一覧

例えば、「あ」の指文字はアルファベットの「a」の指文字、「き」は影絵の「きつね」の形、「こ」はカタカナの「コ」の形…といった具合に、日本語50音の指文字の大半は、アルファベットのローマ字読みやカタカナ、あるいは、誰もが知っているような名詞の最初の一文字を、手と指の形で表現するように作られています。「形」だけで覚えるのは大変ですが、「『あ』をローマ字で書いたら『a』」といった具合に、意味と合わせて覚えるとスムーズに習得できるかもしれません。
※以下、手の向きについて、基本形は「手のひらを相手側に向けた状態」です。


【「あ」行】

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・「あ」の指文字
親指だけ伸ばしてその他の指は軽く握ります。これはアルファベットの「a」の指文字と同じです。


・「い」の指文字
小指以外の指は握り、小指を立てます。これはアルファベットの「i」の指文字と同じです。


・「う」の指文字
人さし指と中指だけを立てます。これはアルファベットの「u」の指文字と同じです。


・「え」の指文字
指は5本とも第2関節を軽く曲げます。これはアルファベットの「e」の指文字と同じです。


・「お」の指文字
親指とその他の指を丸く握ります。これはアルファベットの「o」の指文字と同じです。




【「か」行】

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・「か」の指文字
人さし指と中指を立てて中指を前に出します。これはアルファベットの「k」の指文字と同じです。


・「き」の指文字
人差し指と薬指を立てて、影絵で「きつね」を表現する指の形にします。


・「く」の指文字
手の甲を相手側に向けて指を伸ばし、親指だけ上向き、それ以外の4本を横向きにします。これは数字の「9」の指文字と同じです。


・「け」の指文字
指を揃えて伸ばし、立っている毛の形を表現します。これはアルファベットの「b」の指文字と同じです。


・「こ」の指文字
小指が相手側に向くようにして伸ばし、親指以外の4本指を直角に曲げます。これはカタカナの「コ」の一部を表現しています。




【「さ」行】

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・「さ」の指文字
ジャンケンのグーの形で、これはアルファベットの「S」の指文字と同じです。


・「し」の指文字
手の甲を相手側に向けて親指、人差し指、中指の3本を伸ばし、親指だけ上向き、人差し指と中指は横向きにします。これは数字の「7」の指文字と同じです。


・「す」の指文字
指先が下向きになるように手の甲を相手側に向け、親指は横に伸ばし薬指と小指は曲げます。これはカタカナの「ス」の形が由来になっています。


・「せ」の指文字
ジャンケンのグーの形で中指だけ伸ばし、中指の腹を相手に向けます。「背(せ)筋」がピンと伸びている様子を表現します。


・「そ」の指文字
「それ!」と指さすように人差し指を伸ばし、斜め下に向けます。




【「た」行】

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・「た」の指文字
いわゆる「いいね!」ジェスチャーのように親指だけを立てて表現します。


・「ち」の指文字
小指だけ立てて他の4本指は輪を描くようにくっつけます。


・「つ」の指文字
小指と薬指を立て、残り3本指は輪を描くようにくっつけます。


・「て」の指文字
「やあ!」と挨拶する感じで相手に手のひらを向けます。


・「と」の指文字
手の甲を相手側に向けて軽く握り、人差し指と中指を立てます。




【「な」行】

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・「な」の指文字
手の甲を相手側に向けて軽く握り、人差し指と中指を少し離して下向きに立てます。これはアルファベットの「n」の指文字と同じです。


・「に」の指文字
手の甲を相手側に向けて軽く握り、人差し指と中指を横向きに伸ばします。これはカタカナの「ニ」、あるいは漢数字の「二」の形が由来になっています。


・「ぬ」の指文字
小指を相手側に向けて握り、人さし指を“カギ形”に曲げます。一般に「盗っ人(ぬすっと)」「スリ」を表すジェスチャーと同じです。


・「ね」の指文字
手の甲を相手側に向け、指が下向きになるようにジャンケンのパーの形にします。「根(ね)」が地面に伸びている様子を表現します。


・「の」の指文字
人差し指だけを立てます。これはカタカナの「ノ」の字を書く動きをします。




【「は」行】

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・「は」の指文字
人差し指と中指を立て、やや斜め下に向けます。これは箸の形を表しており、アルファベットの「h」の指文字とも同じです。


・「ひ」の指文字
人差し指1本だけ立てます。これは数字の「1」を指文字で表すときもこの形が由来になっています。


・「ふ」の指文字
手の甲を相手側に向け、親指と人差し指を伸ばします。


・「へ」の指文字
相手側に向けてこぶしを握り、親指と小指を下向きに立てます。これはカタカナの「へ」の形が由来になっています。


・「ほ」の指文字
手の甲を相手側に向けて、指全部を少し内側に曲げます。これは船の「帆(ほ)」が風を受けて膨らんでいる様子を表現しています。



【「ま」行】

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・「ま」の指文字
手の甲を相手側に向けて人差し指、中指、薬指を下向きに伸ばします。これはアルファベットの「m」の指文字と同じです。


・「み」の指文字
手の甲を相手側に向けて人差し指、中指、薬指を横向きに伸ばします。これはカタカナの「ミ」、あるいは漢数字の「三」の形が由来になっています。


・「む」の指文字
手の甲を相手側に向けて親指と人差し指で「L」の形を作り、横向きにします。これは数字の「6」の指文字と同じです。


・「め」の指文字
“OKサイン”をする感じで親指と人差し指を少しくっつけます。


・「も」の指文字
手の甲を相手側に向けて親指と人差し指だけ立て、開いた2本の指をくっつけます。




【「や」行】

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・「や」の指文字
ギュッとにぎったこぶしの小指と親指だけを立て、手首まで含めてます。これはアルファベットの「Y」の指文字と同じです。


・「ゆ」の指文字
手の甲を相手側に向けて人差し指、中指、薬指を上向きに伸ばします。これは「湯(ゆ)気」が立っている様子を表現しています。


・「よ」の指文字
手の甲を相手側に向けて親指以外の4本指を横向きに伸ばします。これは数字の「4」の指文字と同じです。




【「ら」行】

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・「ら」の指文字
中指と人差し指を立ててからませます。これはアルファベットの「r」の指文字と同じです。


・「り」の指文字
人差し指と中指の2本を立てて、手首をスナップさせる感じで表現します。これはカタカナの「リ」の形が由来になっています。


・「る」の指文字
開いた手のひらの小指と薬指だけを折り曲げます。これはカタカナの「ル」の形が由来になっています。


・「れ」の指文字
親指と人差し指でアルファベットの「L」の形を作ります。これはカタカナの「レ」の形が由来になっています。


・「ろ」の指文字
小指を相手側に向けて握り、人さし指と中指を“カギ形”に曲げます。これはカタカナの「ロ」の形が由来になっています。




【「わ」「を」「ん」】

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・「わ」の指文字
人差し指、中指、薬指の3本を立てます。これはアルファベットの「W」の指文字と同じです。


・「を」の指文字
「お」の指文字の形と同じで、自分側に引く動きをします。


・「ん」の指文字
人差し指だけを立てて、カタカナの「ン」の字を書く動きをします。



すぐに伝えたい言葉を「SureTalk」で伝える

固有名詞を伝える際に役立つ「指文字」。

新しい言葉がどんどん増えている昨今。その手話表現については日本手話研究所で考案されたり、自然発生的に広まったりしていますが、会話中にわからない場合は“指文字”が役に立ちます。
極端な例ですが、先ごろ“日本一長い駅名”として認定された「トヨタモビリティ富山Gスクエア五福前五福末広町停留所」のような決まった手話が分からない場合でも、指文字さえ知っていれば正しく伝えることができます。


「SureTalk」には様々な手話動画を利用者に登録いただくことで手話認識エンジンの認識精度を高める「登録機能」が実装されています。
この「登録機能」では手話表現のサンプル動画を見ることができますので、利用者は様々な単語や指文字を覚えるのに役立てていただくことも可能となります。

SureTalkとは

AIを使った会話機能で手話と音声間のコミュニケーションを可能にするツールです。ビデオ通話からAIが身体動作を追跡し手話の特徴を抽出、手話を認識してテキストへと変換します。逆に健聴者から聴覚障がい者へは、音声を自動でテキスト化することでコミュニケーションを行います。

SureTalkができること